起業家紹介/インタビュー

起業家紹介/インタビュー

2017年3月23日に行われた『創業するなら郡山〜Meet the chance in KORIYAMA~』のピッチイベントにご参加いただいた、岡田陽樹さんと野田マサシさんに新しい事業や郡山市への印象について等インタビューをさせていただきました。

◎岡田陽樹さん【フリーウェブデザイナー】

◎野田マサシさん【株式会社グッデイマンデー/代表取締役】

■インタビュー/三部香奈【一般社団法人 グロウイングクラウド/代表理事】



【三部】お二人には、郡山市が2016年10月に実施した「郡山で起業しよう。UIJターン体験ツアー」の際に、参加者として初めて郡山にお越しいただきました。このツアーは、首都圏で活動する起業家を郡山にお招きし、郡山の起業環境などを体験していただくことが目的でした。実際に郡山市内にある3つのコワーキングスペースを訪問し、郡山市にUIJターンして起業している方々と情報交換していただきましたが、まずは、その際に感じた印象を率直にお話しいただけますか?

【岡田】私たちは、東京渋谷にあるコワーキングスペースco-ba shibuyaを拠点に、それぞれIT系の仕事をしています。普段は周りにITやクリエイティブ関連の人が多いのですが、郡山に来たときもコワーキングスペースで仕事をしているITやクリエイティブ関連の方々とお会いして、地方でのこの仕事の需要を再度実感しました。それから、郡山市にはコワーキングスペースが3つもあることには驚きました。その分ニーズもあるのだと思います。



【野田】郡山にUIJターンなどで戻ってきて仕事をしている方たちは、目的意識のはっきりとした方達が多いと感じました。

【岡田】あとは「地元愛」の強い方が多いですね。地元にどう貢献するかを考えて起業する方が多いと思いました。僕たちは「渋谷のために!」なんて意識して仕事しているわけではないので、郡山の皆さんは地域関心が凄く高いと感じました。

【三部】そうですね。東日本大震災をきっかけに、郡山のために何か自分ができることはないか…と考える方が増え、クリエイターを呼びたい、コミュニティを作りたいと活動している若い方々も多くなりました。

【三部】首都圏・都心とは違う郡山で起業することでの魅力はどんなところを感じましたか?

【岡田】銀行とか行政の方々との距離が近いことでしょうか・・・。郡山ツアーでお邪魔した際の起業家交流会では銀行や行政の方にもご参加いただきました。行政の方や金融機関の方と気軽に話せる機会なんて都心ではとても少ないので、コワーキングスペース等で一緒に参加して結びつきを深められるのはとっても魅力だと思います。

【野田】そういう場でも相談をすると親密に聞いてくれる。そういうことが凄くありがたいですね。



【野田】都心、特に渋谷では、日々いろいろな会社や事業が生まれてくる環境にありますが、味方になってくれる人達というと、意外と少ないんです。純粋に市場で勝負するんですけど、例えば町全体で味方になってくれるだとか、そういうことは起業家としてはありがたいポイントですね。

【岡田】私達も都心のコワーキングスペースを利用して活動してるんですけど、私達の業界はデザイナーとかライターとかの横の繋がりがとても強いんです。でもその他の別業種の繋がりとなると郡山の方が強いですね。

【野田】都心のフリーランサーたちはむしろ、別業種の方々と繋がりたいと思ってますね。例えば営業で新規で顧客をとらなくてはならないんですけど、ものすごく営業活動に力を入れているわけではないので、純粋に自分達の仕事を広めるためには、別業種の方々の繋がりや紹介が重要になってくると思います。



【岡田】東京の紹介って薄いよね(笑)

【三部】そうなんですか?(笑)

【岡田】「紹介するよ」と言われて、食事をご一緒したりするのですが、その場で終わってしまう場合が多いんです。

【野田】郡山の場合だと、誰々の紹介という話になると「あの人の紹介なら」という感じで、話が進みやすいですね。
そういう意味でも純粋にビジネスをやる側にとってもやりやすいですよね。なので商工会議所や青年会議所が良い意味で機能するのではないかな・・というのが地方都市の良さですね。

【三部】首都圏の方が企業数も多いですし、起業家にとっては地方よりもがチャンスが多いのではないかと思っていましたが・・・・

【野田】逆に、起業するなら地方都市の方が今はやりやすいんじゃないですかね。でもそれには理由があって、生活コストも首都圏と比べると下げられるので、自分達のやりたいことにお金を使うウエイトを上げられる状況が作りやすいと思うんですね。あとはオンラインでつながる時代なので、日本全国どこにいてもサービスは展開できます。その意味でも地方都市の方が良いのかなと私は思っています。ITのサービスでは地域に境界はないですね。



【岡田】東京は「新しい市場をつくる」ようなサービスには向いていると思います。でも「周りの人が困ってるようなことを助ける」というようなサービスは絶対に地方都市でやった方が良いと思います。市場をつくるということはハードルが高いですけど、困りごとがそこにあるのなら、そういう相手を対象にしたサービスを探した方が仕事になりやすいと思います。

【三部】家賃や物価が安いこと、行政や金融機関など起業をサポートしてくれる人がいること、人と人との関係性が重要視されることなど、地方で起業することのメリットをもっと多くの人に感じてもらいたいですね。逆に、郡山にこんなことがあるともっと魅力的になるのではないかというものはありますか?

【野田】先に起業家の皆さんがいたとして、「郡山へ移住して起業した人たちはこんな感じで頑張ってます」みたいな集まりがあれば、後から起業する方たちも移住しやすいし、入りやすいのではないかと思います。



【岡田】私は、個人でやる仕事に関しては出身地である仙台に会社を建てたいと思っています。なぜかというと、メリットがたくさんあるんです。地方都市でやるメリットは、例えば人件費が安いという面では、東京から仕事を取ってきて人件費の安い場所で仕事をすれば、利益も上がりますし、他の企業よりも払える報酬が増えるので、そうすれば良い人材も集まりやすくなると思います。そういう意味では無数にメリットがあるにもかかわらず、そういうメリットが見えづらいという部分ですかね・・・

【三部】情報発信がまだまだ足りないということですかね・・・

【岡田】少しずつ発信されてきていますけどね。

【三部】お二人がピッチイベントでもプレゼンされた新しい“試住”サービスについて教えていただけますか?

【岡田】はい、二人で4月に会社を設立してやってこうと思っています。テーマは「仕事と旅行」。さらには移住に繋がるようなサービスをしたいと思っています。簡単に言ってしまえばリゾートバイトのイメージになるんですけど、地方での仕事と住む場所を一緒に提供し、地方での暮らしにあこがれている首都圏の人たちに仕事を紹介します。そこで終わらせるのではなく、他の地域でも何カ所か働いてもらって、いろんな所に住んだ結果、最終的に「あそこに住みたい」という場所を見つけてもらう、移住に繋げるための比較検討のためのサービスにしたいと考えています。



【野田】それを一般化させて、若い大学生の方でも、40代50代の方でも皆さんに使っていただけるようなサービスにしたいと考えています。ただ、「旅」と言うと、かなり軽く感じるかもしれませんが、その一つ一つの仕事先では、創業者の方がどんな想いでその会社を立ち上げたのかを知ってもらい、地元の人たちの人柄も肌で感じてもらって、しっかりと移住に繋がるような情報を伝えることが大切なポイントです。

【三部】そうすると一回あたりは短期になるんですか・・・

【岡田】そこは自由にしたいと思ってます。そこでお互いに合意があって正規雇用になるようなところまでフォローしたいと思っています。

【三部】移住にも繋がりますね。

【岡田】もっと欲を言えば、移住が決まった後、そこへの引越費用ぐらいは出せるところまで行ければ、ユーザーにコストがかからないですよね。仕事も決まっているので、行ったあとの収入も確保できているし、移住するためのハードルが非常に下げられると思います。

【三部】おもしろいですね。近年、日本全国の各自治体がUIJターンの誘致に力を入れているので、それとうまくマッチしていけるといいですね。

【岡田】ただ、現状では問題があると思っていて、地域体験とか宿泊体験施設とかはあるんですけど、仕事をフォローしてくれる所が無いんですね。一般の働いている会社員の方が、もっと楽に他の仕事を選べるようなスキームを作りたいと思っています。

【三部】例えば、自治体と提携して引越費用とか負担していただけたりすると良いですよね。

【岡田】そうなんですよね。自治体には移住が決まってる人にお金を使って欲しいんです(笑)

【三部】全国的な問題ではありますが、地方でも人材不足が深刻化しています。これから働き方革命も進むでしょうし、地方の企業は何か策を練らなければいけないと思います。地方の企業の人材確保という面でも、このサービスはニーズがありそうですね。ビジネスモデルとしては、人材を必要としている企業にサービスを提案して代金をもらうという形になるのでしょうか?

【岡田】そうですね。人材を必要としている地方の魅力的な企業さんを紹介するWEBサイトを立ち上げ、そこで地方移住したい人とのマッチングサービスを行います。企業さんから掲載料を頂戴するようになります。まずはこのサービスに共感してくれる企業を探すことから始めます。その後、UIJターンに力を入れている自治体との提携も視野に活動していきたいと思います。

【三部】福島県の魅力的な企業さんもたくさん掲載されるのを楽しみにしています。

【岡田】よく学生たちがやっているリゾートバイトは、特定の有名なリゾート地が対象ですが、私たちは「リゾートではないところ」もリゾート化したいんです。

【三部】なるほど。郡山も有名なリゾート地ではないですが、自然が豊かで魅力的な資源がたくさんあります。郡山ツアーの際に訪問した西田町の高柴デコ屋敷では、きれいな星空を見ていただいたり、張子の絵付け体験もしていただきました。そんな感じで、仕事をしながらその土地の歴史や文化にも触れられるのが“試住”サービスなんですね。

【野田】そうなんです。地方都市の特定の地域の本当に細かい部分まで、良いところも悪いところも紹介することで、本当にそこで働きたいと考える人に情報を届けることができると思っています。



【岡田】例えば、高柴デコ屋敷の張子づくりだって、全国を探せばそれに興味のある人がたくさんいると思うんです。だけど地域の中に埋もれてしまっていて、興味のある人に見える化されていないだけなんです。Webサイトを通して見える化しただけでも、ある程度の働き手からのアプローチが出てくると思うんですよ。

【三部】単に地方の仕事を紹介するのではなく、その土地の人の魅力や地域の魅力を発信することが理念なのですね。このようなビジネスを考え付いたきっかけは何だったのですか?

【岡田】以前、私が宮古島の企業さんからホームページ作成の仕事を依頼されたとき、その企業さんが住む家を用意してくれて、一ヶ月くらい島に住んで、その企業のホームページ作成の仕事をした経験があります。住む場所を用意してくれたり、空いている時間は自由に観光したりしていたので、私も通常の受注より代金を安く提供しました。結果として、その企業からは、低価格で高品質な仕事にとても満足していただき、自分自身もとても貴重な楽しい時間を過ごせました。それをキッカケに、渋谷に戻ってきてから同じコワーキングスペースで仕事をしていた野田と一緒に「そういうサービス良いよね」という話で盛り上がり、このビジネスアイデアができあがった感じです。



【三部】まさしく、何か新しいことを始めたいときに誰かに相談しやすい環境がある「コワーキングスペースの産物」という感じですね(笑)

【岡田&野田】そうですね(笑)

【三部】私も新しいビジネスがうまくいくよう応援しています。最後に、今回ご縁があって郡山へツアー等で来ていただきましたが、参加して良かったなと思うことは何かありますか?

【岡田】一番は地域にフォーカスして活動している人に出会えたことですね。私や野田も地方出身なので、それぞれの地元に対しては色々と思うことがあり、そういう面から今回の新サービスのアイデアに至りました。でも都内で仕事をしていると、地元を想い、地元を良くするサービスを生み出そうと考えている人達が周囲にあんまりいないので、今回のツアーをきっかけに郡山の方々と出会い、同じ目線を持った人がたくさんいたので、嬉しいというか・・・。なので、僕らも東京からプッシュ型で地方のために活動していくことはできると思うので、そういう意味では、地域のコミュニティができているというのはいいなと思いましたね。

【三部】郡山には3つのコワーキングスペースがあり、地元のために自分の力を活かしたいと考えて活動している起業家がたくさんいます。街の魅力を高めていくのは、そのような起業家一人ひとりなんだなあとお二人のお話を伺っていて感じました。地域を良くしたいと考える起業家がどんどん活躍し、魅力的な企業が増えていけば、同じような志を持った人が集まり、新たなビジネスの可能性も生まれてきます。今後もぜひ、郡山との縁を活かしていただけたら嬉しいです。本日はありがとうございました。

【岡田&野田】ありがとうございました。



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