株式会社エムケー技研

起業家紹介 [株式会社エムケー技研 代表取締役 諸根 理仁]

県内の中小企業にとっての研究開発部門として。

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ロボットやクルマが好きな少年が…。

福島県田村市滝根町の中学校から、『福島県立安積高等学校』(郡山市)へ入学しますが、2年生の夏休み前に中退します。理由は、「自分でも、未だにうまく説明できません。あのまま何となく大学へ進み、何となく就職する。その先に何があるのかが、まるで見えなかったことに苛立っていたのかもしれません」と諸根理仁(もろね・まさひと)さん。しかし、子どもの頃からロボットやクルマに興味があった諸根さんは、思い直して、[大検(大学入学資格検定。現在の「高卒認定」)]で大学受験の資格を取得し、『日本大学 工学部』に進学します。機械工学科から大学院工学研究科へ進み、2016年、大手の電機メーカーへ就職。2年半後、退職して地元へ戻り、大学時代の同期、古泉賢人さんとともに、『株式会社エムケー技研』を設立します。そして、2019年4月、〈郡山地域テクノポリスものづくりインキュベーションセンター〉に事務所を開設し、本格的に起業します。



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大企業ならではのありがたさを享受して、それでも…。

──せっかく就職した大企業を、2年半でお辞めになったのは、なぜですか?

漠然とですが、大学時代から起業することも考えていました。しかし、大企業に就職できるのは新卒のときだけです。大企業ならではのありがたさを知ったうえで、それでも起業したい気持ちに変わりがなければ、そのときは腹を括って辞めて、起業すればよいと考えました。入社してみると教育が充実していましたし、先輩にも、同期にも優秀な人が大勢いて、個人的には非常に心地よい環境でした。しかし、このまま心地よい環境にいてもいいのか、年をとるにつれて、どんどん起業のハードルが上がるのではないかと考え、地元に戻り起業することを決めました。


──とはいえ、寄らば大樹の陰。ご家族の反対はなかったのですか?

両親は反対でしたが、自分で決めればよいと言ってくれました。妻のほうが手強かったです。東京での生活が気に入っていましたし、起業することで収入はどうなるのか、将来潰れたりしないか等、とにかく不安だったと思います。最終的には応援してくれて、大変感謝しています。


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大学の同期とともに、大学時代の研究成果を生かして。

──取締役で最高技術責任者の古泉賢人さんとは大学の同期だそうですが、一緒に『株式会社エムケー技研』を設立されるまでのいきさつは?

古泉は、その分野では国内最大手のメーカーに就職しました。勤務先が埼玉県で、卒業後も、よく一緒に飲んだり、旅行したりしました。起業の準備は、彼と相談しながら進めました。


──『株式会社エムケー技研』は何をする会社ですか?

主要な事業は、中小企業を対象にした「ロボティクス/メカトロニクス」、「画像認識/画像処理」、「動作計測」の分野での研究開発支援事業です。特に強みをもっているのは、大学時代にロボットによる生活支援システムを研究した経験を生かした「ロボティクス/メカトロニクス」分野です。もうひとつは、研究開発支援で得た知見に基づいて研究開発の工数(作業量)を削減する計測装置の開発・販売です。




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技術シーズの事業化を支援する施設で。

──研究所のある〈郡山地域テクノポリスものづくりインキュベーションセンター〉は、『日本大学 工学部』のキャンパス内にありますが、在学当時からご存じでしたか?

ここで開かれたロボットに関する技術研修会のようなものがあって、その手伝いに来たとき、初めて知りました。学生のほとんどは、どのような施設なのか知らないと思います。


──インキュベーション、つまり起業支援のための施設ですね。具体的には、何があるのですか?

企業が入居する事務室のほかに、会議室、各種工作機械を備えた試作センターがあります。試作センターは入居企業以外でも利用できますが、入居企業は使用料が半額になります。入居には研究開発内容のプレゼンテーションによる審査があって、入居は最長5年間です。1年ごとに審査を経て更新されます。


ヒト・モノ・カネ・情報の偏りを嘆く前に。

──会社を設立して2年足らず、研究室を開設して1年弱。ここまでは順調ですか?

継続的に受託開発がある顧客が増えていますし、その意味では順調だと思います。しかし、受託開発だけでなく自社製品、自社サービスを開発、提供していくことが最大の課題です。この〈郡山地域テクノポリスものづくりインキュベーションセンター〉に入居していることによるアドバンテージを活かし、早急に開発していかなくてはと危機感を感じています。



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地方の中小企業のニーズに応えたい。

──今後の抱負をお聞かせください。

製品やサービスに直結する研究開発を手掛けていきたいですね。地方の企業にも、研究開発のニーズは山ほどあります。しかし、ニーズがあっても、研究開発の人材がいなかったり、外部の研究開発機関につなぐパイプがなかったりして、結局埋もれてしまっていることが多々あると感じています。そういう企業を見つけ出して、ニーズに応えたいですね。規模は小さくても、製品やサービスに直結する研究開発なら、ビジネスとして成立するはずです。


──「ロボティクス/メカトロニクス」が得意分野ということですが、この先、どこまでロボットが人間に取って代わるのでしょうか?

いま、「メガソーラー(大規模な太陽光発電基地)で、自立走行して草刈りをする」ロボットを開発中です。これは、メガソーラーでは規則的に太陽光パネルが設置されており、整地もされているからロボットで草刈可能だと考えています。炎天下の陽射しも太陽光パネルからの照り返しも強烈ですから、明らかにロボットがやったほうがよい仕事だと考えます。しかし、何もかもをロボットに任せてよいとは思いませんし、そうはならないと考えます。最近、農作物の収穫ロボットの案件があって、ヒアリングしたのですが、ある農家さんが、「ロボットに、収穫の喜びを奪われたくないかも…」とおっしゃっていました。




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失敗して再就職せざるを得なくなっても…。

──起業を考えている人にアドバイスを。

私も、郡山でビジネスとして成り立つかどうか、最初は不安でした。しかし、失敗して再就職せざるを得なくなった場合でも、リスクは、ひと昔前と比べると少なくなっていると思います、それで人生が終わるわけではありません。起業した場合としなかった場合、今後どうなるのかをよく想像して、それでも起業した方がよいと考えたら、ぜひチャレンジして欲しいと思います。





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〒963-1165 福島県郡山市田村町徳定字中河原1-1
郡山地域テクノポリスものづくりインキュベーションセンター 3号室

Tel&Fax : 024-953-8505

Mail : info@mk-rd.co.jp

ホームページ : https://mk-rd.co.jp/


代表取締役
諸根 理仁

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