特定非営利活動法人love.lab

起業家紹介【特定非営利活動法人love.lab 代表 渡邊愛子さん】

 皆さんは「保護猫」という言葉をご存知でしょうか。

 迷い猫や飼い主の様々な事情より飼育が出来なくなった猫たちは保健所・動物愛護センターなどの施設に持ち込まれ、元の飼い主や譲渡先が見つからない場合には殺処分となります。郡山市は県内でも保護猫の譲渡を推進している自治体の1つですが、年間約500頭の猫が保護され、そのうち半数以上が残念ながら殺処分されている現状です。

 そんな飼い主のいない居場所を失った「保護猫」。この社会で人間と共に生活したいと思いながら命の最期を迎える保護猫たちのため、平成26年から郡山市で活動を開始、平成28年6月にNPOとして法人化、これまで以上の活発な取り組みを続けている団体が「特定非営利活動法人love.lab」です。





 代表の渡邊愛子さんは生後間もない時期に捨てられ、現在保護している子猫を愛おしそうに抱きながら、「この子もまだミルクの時期なので目が離せませんね。でも引き取った当時の衰弱しきった子が、こんなに元気に育ってくれて何よりです。」と話しはじめました。
 「love.labでの猫カフェの役割は、保護猫たちのシェルターであり、里親探しの拠点でもあります。法律上、生後2ヶ月未満までは里親に譲渡できませんので、ここで飼育しますが、離乳食に切り替わるまでが一番大変です。生まれて間もない子たちは2時間おきにミルクを飲ませ、体が冷えないように湯たんぽをまめに交換したり。具合が悪いときには病院で治療も必要になりますね。」
 love.labの活動は、郡山市保健所に収容された保護猫を預かり、飼育と里親探しを行う県内でも初となる「飼育里親支援型」。地域課題の解決を目指す非営利活動であるため、法人化に踏み切ったとのことでした。



 「NPOとしての法人化は、協力していただいている皆様から以前から勧められていました。そして、預かる保護猫が増加、活動の規模が拡大してきたとき、『この活動をきちんと継続しなかったら、この子たちはどうなる?』と考え、責任を持って活動を続けるため、法人化を決意しました。」
 love.labには地元の獣医師も理事として参加しており、地域密着型のNPO法人として地元メディアにも取り上げられ、活動の認知度がこれまで以上に高まってきたことを実感しているそうです。
 「多いときは1か月で約30頭の保護猫が保健所からやってきます。うちの収容スペースぎりぎりの頭数ですが、保健所の設備も限界があるので。スタッフも献身的にサポートしてくれるのでとても助かります。その結果、これまでに約400頭の保護猫を新しい家族の元へ送り出すことができました。実際、里親希望の方がこんなに多いのには驚きました。これも私たちの活動が広まってきた結果だと感じています。」



 「でも、まだまだやらなくてはならないことが山積みです。」と心配そうな表情を浮かべる渡邊さん。
 「まずは活動資金の安定確保が第一です。カフェの収益や皆様からの寄付が中心ですが、企業スポンサーなどはこれからです。保護猫の飼育費用や治療費などに加え、設備面でもまだまだ十分ではないので。」
 love.labでは現在クラウドファンディングでの資金調達を行っており、その資金で完全隔離型のシェルターの導入を目指しています。
 「預かっている猫にも色々な性格の子がいます。病気であったり、障害を持つ子もいます。その子たちが1人残らず、幸せに過ごしながら安心して里親を待つことのできる施設にすることが目標なので、隔離できるケージやエリアの整備が急務です。」



 「そして捨てられる猫の数を減らすこと。この活動が最も大切で、最も時間がかかる活動だと思います。飼い猫の去勢や避妊の必要性、飼い主としての責任、命の大切さを根気強く啓蒙していくことが必要だと思います。その発信拠点としての猫カフェでもあると思いますね。」
 love.labの店内には『猫びより』『ネコまる』『にゃんたま』などで活躍中の写真家、芳澤ルミ子さんの写真が掲示され、先日は写真教室も開催されました。
 「芳澤先生は以前から支援していただいており、今回の写真教室もボランティアで協力いただきました。このようなイベントをきっかけに色々な人にlove.labを知ってもらい、活動をもっともっと広めることができれば。」と笑顔で写真を眺める渡邊さん。



 最後に起業し、法人を運営していく中での目標をお伺いしたところ、「色々な方の協力があってこそのlove.labですから。」と力強く話しはじめました。
 「治療でお世話になっている動物病院の先生方、法人化の際にお世話になったNPOサポートセンター、保健所の皆さま、猫カフェに来ていただく皆様、里親になっていただく皆様、色々な人の想いが保護猫たちの尊い命をつなげていくと思います。その想いや志を忘れず、love.labが果たすべき役割を全力で全うする。これが変わることのない目標ですね。」
 渡邊さんの言葉には強い意志と使命感、そして猫たちへのとても深い愛情を感じることができ、起業を通じて目指すこれからの活動を、ぜひ今後も皆様にご紹介していきたいと思います。



特定非営利活動法人love.lab

〒963-0203 福島県郡山市静町1-28根本ビル102

ホームページ:www.love-lab.jp

Facebook:https://www.facebook.com/hogonekocafe.love.lab/

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