起業家紹介【株式会社ディクシム・エムピー 代表取締役 藤田 大】

「人の縁」がつながり、今がある。
金型部品の製造・販売を主とする専門商社を創業。


「よりベターな解決策をお客様と共に」をテーマに、金型部品の特注加工や表面処理、溶接など、金型部品に関連する幅広い業務を行う株式会社ディクシム・エムピー。
ディクシム・エムピーは、金型部品を扱う企業で営業として長いキャリアを重ねた藤田大(ふじた・だい)さんが独立し、令和元年に創業しました。



-創業までの経緯をお教えください。

大学卒業後に就職した金型部品の会社で営業として東北地方の顧客を担当していました。北は青森から南は福島まで、とにかくグルグルと1人で東北地方を回っていましたね。その会社には16、7年ほど勤め、営業所の閉鎖に伴う会社都合にて退職しました。その後は1年ほど別業界で働き、再び金型部品の会社へ就職し業界へ戻りました。一度は離れた金型部品の業界へ戻りましたが、営業範囲が広がり、身体的な負担が増えたことが原因で退職を考えるようになりました。それと同時に今後のキャリアのことも色々と考えました。

最初の会社を退職した後も最初の会社でつながりのあったお客様とお会いする機会が度々あり、何人かの方から「藤田さんが退職した後、営業が来なくなってしまい、発注がしづらくなって困っている」というお話をいただきました。

こういったお話を聞く中で「創業」に対する意識が生まれ始めました。創業することについて相談した家族の理解も後押しとなり、創業を決意したのは令和元年の10月。税理士に創業に関する相談をしながら、1ヶ月間の準備期間を経て、11月1日に登記をし、創業しました。



-準備期間が短く、スピード感がすごいですね。

「もう、覚悟を決めてしまえ!」という感じでした(笑)。
創業を決意した頃に郡山商工会議所の「創業塾」の受講を申し込んでいたのですが、受講開始前に創業してしまいました。相談したのは税理士さんとお客様だけでした。必要になると言われた資金と銀行口座だけ準備しながら、お客様には「もし立ち上げたら、ぜひよろしくお願いします!」という連絡を入れていました。



-ディクシム・エムピー(DKSM・MP)という社名の由来は?

私は家内、息子、娘の4人家族なのですが、私たちの名前の頭文字をつなげた名前です。
私は大(だい)なので「D」、家内は「K」、息子は「S」、娘は「M」が頭文字なのです。会社名診断でいろいろ調べていると、どうやら「DKSM」だけだと字画があまりよい診断結果ではなくて(笑)。そこでカタカナで「ディクシム」と名付けることにしました。当社が取り扱う商材は金型部品ですので、金型を「モールド(M)」、部品を「パーツ(P)」と呼ぶことから、頭文字を合わせて「MP」を名前の後ろに付けています。

会社名に何か特別な思い入れがあるかというとそうではないですが、やはり家族を背負って仕事をするという意味でも家族の要素は入れたかったです。



-創業後はどんな動きをされたのですか?

創業塾を受講しながら、平日は近隣含めて仕入れ先の候補をいくつか回っていました。
ちょうどその時期に「メディカルクリエーションふくしま」という展示会がありまして、その展示会でお声がけした会社も含めて6社ほど仕入れ先を確保しました。
そして営業を本格的にスタートさせたのが、令和2年の1月。最低限の仕入れ先も揃い、お客様に具体的な営業を行い始めました。
ここまでとても順調そうに聞こえるかもしれませんが、実はここからが順調ではありませんでした。新型コロナウイルスのパンデミックで、お客様と全く会えなくなってしまったのです。

私のバックボーンが、長年在籍していた会社から新たな会社(株式会社ディクシム・エムピー)となったことで、今まで取引を行ってきたお客様の会社からすると、「知らない会社・完全新規の会社」になる訳です。当時叫ばれていた「不要不急」という言葉の壁にガツンとぶつかってしまい、対面営業ができなくなってしまうことが多くなりました。
それでもなんとかお客様に支えられて、その後3年を乗り越え、4年目に突入しています。
パンデミックが始まる前に相談をいただいていたお客様のお陰ですね。
「『株式会社』でなければ取引はできません」という会社もあるので、最初から「株式会社」として設立していたのもポイントだったかもしれません。



-4年目に入った現在、改めて業務内容をお教えください。

当社は、金型部品の商社です。
お客様の生産性を向上させることを目的に、付加価値のある金型部品をお客様にご提案しています。例えば、製品を1,000個製造する度に摩耗して交換が必要になってしまう部品を扱うお客様へ、製品を1,200個製造するまで摩耗しない加工を施した金型部品をご提案するとか。
そうすると、交換する手間が省け、単純に金型部品を買う個数が減るので、多少金型部品の価格が上がったとしても、結果的には生産性が向上させられます。「よりベターなもの」をお客様と一緒に考えながら、お互いがハッピーになれるようなものを探していきたいと思っております。

あとは、お客様が社内で加工できないもの、平たく言えば「特注品」の製造・販売を行っています。数が多い仕事ではありませんが、主要な事業になっていますね。



-金型部品の製造・販売のほか、システムもご提供されているのですね。

お客様からのお問い合わせについて、公益財団法人郡山地域テクノポリス推進機構に相談したのがきっかけです。その相談の後に郡山地域テクノポリス推進機構から「新しいIoTシステムを販売している株式会社KMC様が営業先を探している」ということを聞きました。Zoomでの交流会があると聞いたので、そこに顔を出してシステムの話を聞いたのです。神奈川県川崎市の生産性向上・働き方改革モデル創出事業に採択されたIoTシステムなのですが、話を聞いて、「これは面白い」とすぐに飛びつきました。「川崎モデル」と呼ばれるこのシステムを現在、当社が福島県内で優先販売しています。



-創業してよかったこと、大変だったことをお教えください。

よかったことは、人との縁がつながることですね。先ほどお話した「川崎モデル」も人との縁がつながった結果、当社で取り扱えるようになりましたしね。
真面目に、本気で仕事に取り組んでいるということは人に伝わるし、誠実に続けていれば人から何かを紹介していただけたり、仕事をいただけたり、よいことがたくさんあるのだと実感できています。
大変だったことは、新型コロナウイルスの影響で、人に会いづらくなってしまったこと。特に第1波、第2波のタイミングがとても厳しかったです。昔から取引があるお客様だと、オンラインでもある程度は問題なく意思の疎通が図れますが、新規のお客様の場合はそうではありません。名刺を交換できないから、ご担当者の連絡先も分からない。そうなると、例えばたまにお電話して世間話をしてみたり、そういうことも難しくなってしまいます。



-創業を考えられている方にアドバイスはありますか?

あるとすれば、3つほど。

1つ目は、良くも悪くも「思い立ったが吉日」ということ。
2つ目は、なんだかんだで「人の縁」が大切だということ。
3つ目は、「本気でひたむきに取り組んでいれば、誰かが見てくれている」ということ。

先ほどもお話したとおり、私が創業した日(11月1日)は退職日の翌日だったのですが、その日に創業した理由も「縁起が良さそうな日だったから」ぐらいですし、まさに「思い立ったが吉日」ですよね。
「川崎モデル」との出会いもそうですが、「人の縁」は大切です。お客様はもちろん、当社のホームページを制作していただいた会社様も縁があって繋がることができたし、創業塾で出会えた方々も貴重な縁です。自分ができないことをやっていただけるということは、「縁があってよかった」と感じるところですね。



-これからの目標をお教えください。

セールスライティングや集客に関する知識など、本業以外のこともたくさん勉強してきたので、そういった部分のコンサルタントも始めていきたいと考えています。どこかの会議室をお借りして、セミナーを開催したり、勉強会を月に1回ペースで行ったり、持っている知識をアウトプットしていくような場を設けたいです。人間はインプットばかりしていると、どうしてもパンクしてしまうし、定期的にアウトプットすることで、自らの学び・成長にもつながると思っているので。
これからも、たくさんの方に喜んでいただけるような仕事をしていきたい、と考えています。



金型部品ならびに金型関連部品の製造および販売/治工具の製造および販売/その他付帯業務


会社案内

株式会社ディクシム・エムピー

〒963-0121 福島県郡山市三穂田町川田字大徳原1-62

TEL:080-6000-5221

ホームページ:https://dksmmp.com/

代表取締役 藤田 大

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