起業家紹介【ル・ミトロン 食パン 郡山菜根店 今村 睦】


 

「差別化」でお客様を確保。
コインランドリーと併設する食パン専門店。

 

食パンの専門店「ル・ミトロン食パン郡山菜根店」。
定番の横濱食パンはもちろん、明太チーズやくるみショコラなど、季節によってさまざまなアレンジ食パンが並びます。お店に入ると、焼き上がった食パンの香ばしい匂いと、シナモンやハチミツの甘い香りが優しく迎えてくれました。
お店をオープンさせたのは、それまでパン作りとは無縁だったという今村 睦(いまむら・あつし)さん。いったいどんな経緯で食パン専門店をオープンさせるにいたったのか、今村さんにお話を伺いました。

   

(左:今村睦さん、右:今村喜代子さん)

    

-店構えを見れば一目瞭然ではありますが、改めて貴社の事業内容をお教えください。

食パンを専門に製造・販売する食パン屋を経営しています。
最近はコッペパンも販売していますが、基本は食パン。横浜に本店がある「ル・ミトロン」という総合ベーカリーから食パンの製造・販売だけを切り離してフランチャイズ化したのが、この「ル・ミトロン食パン」です。
ル・ミトロン本店では食パンの人気が高かったため、そこを中心に販売していこうという流れだったそうです。



-創業(開店)の経緯をお教えください。

  実は最初、敷布団のクリーニングをメインでやろうと考えていました。このお店(ル・ミトロン食パン)がある場所の隣をコインランドリーに、このお店がある場所をクリーニング店にして、布団を預かって仕上げてお返しする、ということをやりたかったんです。郡山商工会議所様が開講されている「こおりやま創業塾」に通っていたのですが、そのときからそういった事業プランを練っていました。しかし、周りの方々に話を聞いてみても「ベッドだから敷布団は使っていない」という方が多かったんですね。特に若い方はその傾向が顕著でした。色々な方に相談しているうちに、ペットを飼われている方が多い割にペット用品が洗えたり乾燥できるところが無いということに気が付き、ペット専用洗濯・乾燥ブース付きのコインランドリーを始めることにして、敷布団のクリーニングについては止めることにしました。実は、私の妻が5年ほど前から別の場所でコインランドリーを経営していましたので、コインランドリーの機械はそのまま持ってきまして、当初の予定通りコインランドリーはやっていくことにしました。



-そうなると、次は現在「ル・ミトロン食パン」の店舗になっているこのスペースをどう活用しようか、という話になるんですね。

 実はコインランドリーというのは、コンビニと同じぐらい店舗数が多いんです。ゆえに、どこかで差別化を図らなければ埋没してしまいます。どこかにコインランドリーがオープンしても、その場所にコインランドリーがあるということが認知され、お客様がいらっしゃるまでには長い時間がかかる。
そこで、認知をもっと高められるような方法を探す必要があり、いろいろ調べていた結果、食パンにたどり着いたんです。
食パンを買いに来られる方の年齢層は、コインランドリーを利用される方の年齢層と重なりそうな気がしていたので、そこがうまくマッチするのではないかと。例えば、食パンを買いに来られたお客様が「そういえばあそこの隣、コインランドリーだったよね」と思い出していただければ、急に洗濯が必要になったときにお越しいただけるかもしれません。
ル・ミトロン食パンの説明会にも参加して、いろいろ話を聞いていくと、当店が東北初出店だったということもあり、思い切って食パン専門店のオープンを決意しました。

-このスペースは、食パンを製造・販売するのに十分な環境だったのですか?

 大体10坪から12坪ぐらいが理想的だと言われていましたので、このスペースが丁度ぴったりぐらい。あまり広すぎても食パンの製造工程で無駄に歩かねばならず、タイムロスが発生してしまうし、狭い中でも、必要な時だけ必要な動きができるようになっていれば、それで十分でした。
あと、製造現場だけでなく、売り場についても基本はテイクアウトで、購入されたお客様はすぐに退店されますので、狭くても問題がありませんしね。そういった部分も今の時代に合っていると思っています。



-今村さんは元々、パンの業界にいらっしゃったのですか?

 いえ、元々は不動産業界にいたんですよ。全国展開している会社に勤めていましたので、札幌や名古屋など、さまざまな場所で勤務していました。ちょうど子供が小学校に上がるタイミングで郡山市にいたということもあり、郡山市に家を建てまして。それからは単身赴任で全国を転々としていましたね。震災時はたまたま郡山市にいたのですが、その後の10年ほどは別の場所にいました。この店をオープンした時期というのは、その会社では30年ほど働いて、息子も就職を機に東京へ行った頃でしたので、ちょうど一区切りの時期ではありましたね。



-パン製造は未経験だったのですね。ということは、食パン製造のノウハウをどこかで学ばれたのですか?

 はい、横浜の本部へ夫婦で行って、みっちり教えていただきましたね。タイマーの使い方も知らなかったので、そういうところから教えていただいて(笑)。
研修期間はだいたい2週間ほどでした。
福島に帰ってきてからも、オープン前に1週間ほど時間を使い、学んだことをもう一度やり直しました。本部の方といろいろ調整しながら修正していって、オープンにこぎつけたという感じですね。



-創業してよかったこと、大変だったことをお教えください。

 やはり、お客様に「おいしかったよ」と言っていただけることですね。さらには「こうやってアレンジして食べるのがおいしかった」とか、逆に色々教えてくださるんですよ。そういう出来事でやりがいを感じるし、とても嬉しいですね。

大変だったことは、朝が早いことです(笑)。
毎日、朝の4時から仕込みをして、分刻みのスケジュールで食パンを焼き上げます。本当に一分一秒を争う現場になりますので、朝は大変ですね。



-今後の目標はありますか?

 今やっているような、コインランドリーと併設する形で、いろいろな場所に出店してみたいと考えています。福島市や会津若松市、いわき市など、あちこちに出店できたら面白いと思っていますね。とても難しいことではありますが、簡単ではないからこそ、やりがいもあるのかと思います。



-これから創業を考えている方へ向けて、何かアドバイスはありますか?

 多額の借り入れをして始めるというより、小さく始める「スモールスタート」が気持ち的にも楽で、よいのではないかと思います。やはり多額の借り入れをしてしまうと、返していくのはとても大変ですので。
あと「差別化」は必須事項だと思います。これは「こおりやま創業塾」でも習ったことなのですが、何かをしようと考えても、結局どこにでもあるようなものだとお客様は振り向いてくれない。何かインパクトのある仕掛けがあると、うまくいくのではないか、と感じています。





食パン製造・販売

ル・ミトロン 食パン 郡山菜根店

〒963-8862福島県郡山市菜根4-2-1

TEL:024-973-5779

ホームページ:https://lemitronshokupan.com/

オーナー 今村 睦

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