起業家紹介【リンクエフ株式会社 代表取締役 田村 慎太朗】


 

「地中熱」をテーマに創業。
研究を重ね、実用的なシステム開発を目指す。

 

「地中熱」を利用したシステムを開発する「リンクエフ株式会社」。従来の地中熱システムが持つ問題点を解消し、より効率的にエネルギーを生み出すべく、日々開発を続けています。開発を始めた経緯や創業に至る経緯など、気になる創業のお話をリンクエフ株式会社の代表取締役 田村慎太朗(たむら・しんたろう)さんに伺いました。

 

    


(左:安田悟さん 右:田村慎太朗さん)

─貴社の事業内容をお教えください。

「地中熱システムの設計」がメイン事業です。また、そのシステムを普及させ、より良くするための新しいシステムの開発も行っています。
開発にあたっては、日本大学工学部の井口史匡教授、武藤伸洋教授にご協力をいただいている他、学生さんにも研究の一環として携わっていただいています。
システムの試験運用は、田村市でキノコを栽培されている「移ヶ茸(うつしがたけ)」の安田悟さんの農場をお借りして行っています。



ー地中熱システムについてお教えください。

地中熱システムとは、地中の温度が一定であることを利用したシステムのことです。地中の温度は、外気の気温より夏は低く、冬は高いという特徴があります。通常の冷暖房は、外気温度を利用してヒートポンプで熱を作り出す仕組みであるため、外気温との気温差が大きいと、電力を大きく消費してしまいます。
しかし、地中熱の温度は前述の通り一定のため、熱を作り出す際に使用する電気量が少なくて済みます。そういったメリットのある地中熱システムですが、初期導入費用が高い、地下水を汲み上げるための電気代が上がるなどの問題から、省エネとは言い切れない背景もあり、それほど普及していないのが現状です。
リンクエフ株式会社では、その問題を解消し、より効率的にエネルギーを生み出せる設備を開発しています。



─創業の経緯をお教えください。

私は元々、日本大学大学院工学研究科博士前期課程を修了後に機械メーカーへ就職し、開発業務を行っていました。そんなある時、母校である日本大学工学部時代の後輩から「大学で研究している地中熱システムが事業化できそうだから手伝ってほしい」という要請がありました。研究員としてその研究に加わって事業化を目指していたのですが、紆余曲折あり途中で続けていくことが困難になってしまいました。しかし、これまでお世話になったメーカーさん(制御盤メーカーやヒートポンプメーカーなど)に恩返しがしたいという気持ちがあったので、その開発計画を丸ごと含めて行う会社を創業したという流れです。
また、補助金の中には法人でないと申請できないものもあります。そういった背景も創業理由の一つですね。



─創業されてから、よかったこと・大変だったことがあればお教えください。

よかったことは、開発に協力してくれる会社さんがいることと、安田さんに出会えたことではないでしょうか。安田さんがいらっしゃらなければ、農業への需要や、農業が冷暖房で困っていることなど、そういったことが分からないままだったと思います。
実際の農業でシステムを試用いただけていることも大きいです。実際に使ってから初めて分かることが多いですからね。
創業から1年ほど経ちますが、その設備の開発がうまくいくかどうかが分かりづらいところなので、そこは大変というか、不安が多いです。また、事業を回すためには、売れる設備を作る必要があります。事業を回すためには売れる設備を作る必要がありますが、その設備の開発がうまくいくかどうかが分かりづらいところなので、そこは大変というか、現在進行形で不安な点ですね。



─会社として、これからの目標はありますか?

それをお伝えするために、まず社名の由来からお話します。「リンクエフ」という名前は「Link(リンク)」という英語と「F(エフ)」を組み合わせています。リンクという英単語には、「繋ぐ」や「輪」といった意味があるのですが、機械の機構である「リンク機構」が意味としては大きいです。これは、どこか1つを動かすだけで色々な、複雑な動きができるようになる機構です。例えば、車のワイパーやハンドルにも使われている機構で、1つ動かせばいくらでも複雑な動きを実現できます。しかし、その動きは1個ではなく、組み合わせないと出来ないのです。
その機構と同じで、私は「地中熱のシステム設計」しか出来ません。でも、地中熱システムを完成させるには、それを設計図通りに組み立ててくれる方や、システムに必要な部品を調達してくれる方が必要です。そういう方々がいて初めて、地中熱システムは完成します。そういう「繋ぎ合わせ」や「巡り合わせ」を大切にしたい、という想いで会社名の頭に「リンク(Link)」をつけ、「福島(F)」から未来へ繋ぎたいと思い、社名を「リンクエフ」としました。
今後は、この社名に込めた想いを持って、福島県から日本全国へ、地中熱システムの技術を広めていきたいと考えています。



─これから創業を考えている方へ向けて、
何かアドバイスはありますか?

私は創業するにあたって、郡山商工会議所主催の「創業塾」を受講しました。創業するための知識はもちろん、創業者としての心構えも学べる場所でしたので、これからの創業を目指している方には受講をおすすめします。

あとは、「何をやるか」も重要ですが、「誰とやるか」がさらに大事だと思います。安田さんはもちろん、ご協力いただいている会社さん、日本大学工学部の井口先生、武藤先生をはじめ多くの方に助けていただいてここまで来られたと思っています。



(左:田村慎太朗さん 中央:学生の鈴木さん 右:井口史匡教授)




研究開発(地中熱システム設計)

リンクエフ株式会社

〒963-1165 福島県郡山市田村町徳定字中河原1-1 ものづくりインキュベーションセンター10号室

Mail:info@linkf.jp

TEL:050-3707-8410

代表取締役 田村 慎太朗

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