起業家紹介【株式会社FREES CASE 代表取締役 門澤 真由美】


 

多角的にフリーランスをサポートする事業展開。
人との縁が、フリーランスの「箱」を生み出した。

 

東京での一般職時代、福島でのカメラマン時代を経て郡山市で創業に至った門澤真由美(かどさわ・まゆみ)さん。現在は、創業した「株式会社FREES CASE」の代表を務めています。社名の由来は「フリーランスの箱」。たくさんの人との縁を通じて創業に至った門澤さんに、創業にまつわるさまざまなお話を伺いました。

 

    

─貴社の事業内容をお教えください。

当社には、業務委託の形でフリーランスのヘアメイクさん、カメラマンさん、着付けの先生など幅広い業種の方が35名以上在籍しています。その方々がお持ちの技術を必要としている会社さんや、個人の方に技術者を手配するという事業を行っています。
また、フリーランスになりたい方へのサポートも事業の一環として行っております。例えば、経理や確定申告のやり方など、お金にまつわることを中心に一緒に学べるサポート業務ですね。独立を考えているけれど、一歩踏み出せない方の背中をそっと押す事業です。それに伴い、若手の人材育成・キャリア支援も行っております。例えば、現在雇用の美容師さんが、子育てや介護などでフルタイムで働けなくなった時、時短にするかフリーに転向するかなどの選択や、他の美容室に移る選択など色々な選択肢があると思いますが、そういった選択肢に対する相談やアドバイスなどを行う事業ですね。
まとめると、「技術提供」「フリーランスサポート」「人材育成・キャリア支援」の3つを主な事業として展開する会社です。ちなみにこの場所(取材場所となった「オンディーヌ郡山」)は全国に40店舗以上ある呉服業界最大手のフランチャイズ店で、主にデザインやヘアメイクに敏感な方へ振袖の販売とレンタルを行っています。美容学校に非常勤講師を派遣する中で、トレンドにこだわりたい意向を耳にし、フランチィズ契約をしてオープンさせました。現在は、ここを拠点に活動しています。



─創業の経緯をお教えください。

元々、大学進学をきっかけに上京し、20代の頃は普通の一般職として10年ほど都内で働いていました。その後、2011年に地元の福島県に戻り、就職活動をしていたタイミングで東日本大震災が発生したこともあり、希望していた事務職の求人がほぼありませんでした。なかなか就職先が見つからない中、たまたま創業支援の仕事をされていた知り合いから「自分のスキルを棚卸しして、やれることで開業するのがいいのではないか」とアドバイスを貰いました。その時に持っていた資格は「教員免許」と「草月(生け花の資格)」でした。ですが、教員として働くことは向いていないと感じていたので、「草月」を活かしたウエディングブーケの販売会社を立ち上げ、ホームページを開設しました。しかし、そのサイトに載せた写真があまり良い写真ではなく、なかなか受注が取れませんでした。そんな時、知り合いから紹介されたカメラマンに改めて撮り直していただいた写真を載せたら、すぐに受注をいただけました。「写真って面白い」とその時に思ってカメラにのめり込み、そこからは、婚礼などを中心に撮影するカメラマンとして長く活動していました。



そして、新型コロナウイルスが流行し始めた頃、給付金申請についての話が周りのフリーランスの方との話題に上がるようになりました。ですが、その申請書類の文章を読んでいても、どう申請すればいいのか分からない。そもそも補助金や助成金といったものに慣れていない。そういった状況の中で、ふくしま女性起業家活躍推進協議会の代表が、「本当は申請したら貰える支援金を、貰えていない方が周りに沢山いるのではないか」というお話をくださいました。それで、周りのフリーランスに支援金申請の話をしてみると、申請したい方が多かったのです。その時に、このような申請など、きっかけ1つで自分がやりたい仕事、創業にたどり着ける方が沢山いるのではないかと思い、緊急事態宣言が出てから1年ほど経ったタイミングで創業しました。
カメラマンとして食べていくにも、例えば60歳になった自分がやっていけるビジョンが見えなかった時期でもあったので、ちょうどよいきっかけになりました。



─創業されてから、よかったこと・大変だったことがあればお教えください。

フリーランスの期間が長かったこともあり、余計にそう感じるのかもしれませんが「チームで仕事ができること」がよかったことです。フリーランスだと1人ですべて完結させないといけませんが、創業したことでチームとなり、フォローし合える環境になりました。社員も皆それぞれスキルがバラバラなので、仕事の受注幅も広がりましたね。

大変だったことは、やはり経費についての考え方です。創業すると、労務関係の申請なども出てきますし、経費の扱い方が変わります。人件費の扱いが最たる例で、フリーランスのときは「外注費」として処理していればよかったものが、創業して社員に支払うのは「給与」になりますので、源泉の申告が必要になります。慣れてしまえばどうということはないのですが、慣れるまでは大変でした。税理士さんや社労士さんに色々と教えていただきながら手探りで乗り越えていきました。



─会社として、これからの目標はありますか?

福島で仕事をする中で、「東京で働いてから福島に戻ってきました」と言うと、「私はずっと福島にいる」ことをプラスの意味で言う方、マイナスの意味で言う方の2通りいらっしゃいました。私は福島県の自然や文化がとても誇らしいと思っているので、福島県にいることが誇りに思えるような、そんな仕事を作っていけると面白いなと思っています。同時に、福島から県外や海外へ出向く仕事を増やしていきたいと考えています。「東京じゃないと面白い仕事がない」という考え方を変えていけるような、福島県でも面白い仕事があるというモデルケースの1社になれたらと思って仕事をしています。



─これから創業を考えている方へ向けて、
何かアドバイスはありますか?

創業するにあたっては、資本金やスキルなど色々なものが必要になるがゆえに「準備をしっかり整えてから創業しよう」と思いがちです。でも、タイミングとか流れみたいなものがあると思うので、たとえ準備が完璧でなくても、例えば人とのご縁があったときにやってみようかな、くらいの感覚でもいいのではないかと思います。いい意味で流されるのも大事なので、まずはやってみて難しかったら周りの人に聞いて、助けていただくのも良いと思います。
それでも何かあれば自分自身の責任になってしまうので、厳しい面ももちろんあるとは思いますが、「あまり構えすぎない」という意識は大切なのではないでしょうか。





フリーランスの人材育成・キャリア支援・サポート

株式会社FREES CASE(オンディーヌ郡山)

〒963-0209 福島県郡山市御前南6丁目25

TEL:050-3646-4686

ホームページ:https://freescase.co.jp/service/

代表取締役 門澤 真由美

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